Go!プリンセスプリキュア、一話見て以降見てなかったのですが、知人からのプッシュもあり11話(プリキュアがパワーアップしてパンク兄ちゃんが死んだ回)から継続して見ております。なかなか面白いので、ちょっとここいらで簡単な雑感を綴っておこうかと。
さてプリプリ、とにもかくにもトワイライト様が台詞デザイン声優演技の全てがバッチリ決まっててキャラとして素晴らしすぎるのは私が言うまでも無い訳ですし、物語としても今後の展開のキーキャラっぽいなというのは誰しもが分かってる話な訳です。で、うっかりするとトワイライト様のキャラの良さだけで見進められちゃう勢いではあるのですが、一方で物語の方は今後どうなっていくねん?という話をちょっと呟いておこうと思います。
まずそもそも主人公は「プリンセスを目指す女の子」というキャラでありまして、勿論その彼女の追いかける夢こそが物語の中心テーマである事は、これまた今更言うまでもない規定事項である訳であります。そもそもタイトルが「プリンセスプリキュア」ですし。しかし「プリンセスを目指す」と言っても、彼女に何らか王家にまつわる背景がある訳では無く、あくまで市井の出自でしかありません。彼女が憧れる「プリンセス」とは「絵本の中のお姫様」という極々素朴なものです。すなわちここで言う「プリンセス」というのはあくまで「女の子の憧れ」のアイコン程度でしかありません。
(私が見てない1クールの間に「プリンセスとは何ぞや」にもっと深い意味性を与えるエピソードがあったかも知れませんがそこは一旦置いといて)
で、それに対してトワイライト様ってのは、敵の親玉女王様の娘にして正当後継者であり、出自に裏付けされた正真正銘の「王女様」な訳です。そして彼女自身も「自分こそが真のプリンセス」や「アンタらは所詮似非」などのニュアンスの台詞を発しており、この事から彼女が血統主義を象徴する存在である事が分かる訳です。
さて、主人公がプリンセスに憧れる普通の女の子であり、それに対する敵方のキーキャラクターが血統主義に裏打ちされたプリンセスという構図となれば、雑な予想として「誰でも頑張ればプリンセスになれる!」という着地点が現時点では透けて見えます。この点も多くの人がある程度賛同すると思われます。
しかしながら正直言えば、もし実際にそうした着地点が与えられたとして、個人的には、それ敢えて「プリンセス」という単語を使う意味があったか? みたいな気分になります。「女の子の憧れ」のアイコンなんてプリンセス以外にいくらでもある訳で、であれば逆に言うと「プリンセス」というテーマを使った以上、そこを単に血統主義に打ち克つ話にしてしまって良いのか?と
もう少し踏み込んだ要望を言うのであれば、「高貴な身の生まれが生まれの地位と義務を背負う」というのをある程度肯定的に扱わないと、それは「プリンセスを目指す女の子」の物語としてはちょっと違うくないか?という思いがあります。
なのであの母娘、今は声優とデザインで魅力値MAXモードである訳ですが、こっから物語としても「コイツらはコイツらでノブレスオブリージュやってんだよ実は」みたいな方に寄せて頂きたい所であります
実際現状の劇中描写としても敵方勢が安易に否定されてもいないみたいだ、という気分があります。例えばそれこそ前回(15話)は「主人と執事の正しいあり方とは?」というようなテーマだった訳ですが、主人公達が悪戦苦闘しながら正解に辿り着く一方で、実はトワイライト様とショタ男子およびハットおじさんの敵方勢の方が、よっぽど完成された「主人と従者の関係」をやってみせていたりします。
そこら辺を考えますと、パンク野郎が改心だとか浄化でなく最後の最後まできっちり呪詛を吐きながら消えていった事も、「誰でも頑張ればプリンセスになれる!」みたいな着地点から一歩外へ抜け出す為の、ある種の伏線であるのかも知れません。
という訳で現状のプリンセスプリキュアに思う所はこんな感じ。とにもかくにも今後に期待する所存であります。
ところで、同じ内容をTwitterで呟いていたらこうしたリプライを頂きました。
@adenoi_today 1クール段階だと、みなみ様(マーメイド)が「ノブレスオブリージュな人で能力ある者の責務として大抵の物事を処理してしまう為に、強い夢(願望)を持っていない(っぽい)」というキャラ付けだったり。
— GMS@『Gレコ』万歳 (@gms02) 2015, 5月 13
私の見てない1クール中にも大事な要素が散りばめられていたようです。
(このブログ的には富野監督が20数年延々と「高貴な生まれの女王様」の物語を書き続けてきた事に言及しないのは如何なモンかとは思うけど、現状大して面白い比較が出来ないので放置。しかし主人公役の嶋村侑さんがそもそも富野アニメの姫君ヒロインとして声優デビューし、直前まで同じく富野アニメにおいてまたも姫君ヒロインを演じていたというのはなかなか面白い符合ではある)